研究者たちは、人工知能を使って衛星画像からカンボジアのベトナム戦争時代の爆弾クレーターを検出したといいます。この新しい方法は、標準的な方法に比べて160パーセント以上も検出率を増加させました。
AIによる地雷検出のプロセス
Lin氏は、オハイオ州立大学の土木、環境、測地工学のRongjun Qin助教授と共同で研究を行いました。
カンボジアのプレイベン州の町の近く、100平方キロメートル区域の商業衛星イメージから、研究は始まりました。この地域は、1970年5月から1973年8月まで米空軍による絨毯爆撃の対象となっていた場所です。
研究者たちは、人工知能の機械学習を使用して、爆弾クレーターを分析するために衛星画像を分析しました。
クレーターにより、どのくらい多くの爆弾がどこで実際に爆発したかが分かります。これにより、どのくらいの数の不発弾が残っているのか、そして不発弾が発見される可能性のある特定の地域について検出することができるのです。
調査は2 つの段階プロセスを含んでました。第一段階では、研究者は月や惑星の流星クレーターを検出するために開発されたアルゴリズムを使用しました。
第二段階では、爆弾クレーターと隕石クレーターを区別します。開発されたコンピューターアルゴリズムは、爆弾クレーターの形状、色、質感、大きさなど、爆弾クレーターの斬新な特徴を考慮しています。
この方法により、爆弾検出率を160パーセント以上向上させたとLin氏は述べています。
研究による不発弾の状況の解明
研究者たちはまた、この研究のために機密解除された軍のデータにもアクセスすることができ、分析された地域に3,205個の汎用爆弾が投下されたことを示しました。
この情報は、地雷除去の報告書と研究の結果と合わせて、投下された爆弾の約44から50パーセントに及ぶ1406個から1618個の不発弾がこの地域でまだ行方不明になっていることを示唆しています。その土地の多くは農業地帯であり、地元の農家は不発弾に遭遇する危険性があるといいます。
【考察】平和活動に貢献するAI
地雷除去の重要なポイントの一つは、地雷除去の優先度の高い地域の特定でした。
AIの活用は、脆弱な地域の特定に役立ち、地元住民の安全の確保と、平和活動への貢献という大きな可能性を秘めています。
参考:https://www.sciencedaily.com/releases/2020/03/200324090005.htm