超軽量電池化学に取り組むCuberg社は、より軽く、安全で、エネルギー密度の高いバッテリーの開発に、機械学習プラットフォームを使用しているといいます。
Cuberg社のバッテリー開発
「私たちは、非常にエネルギー密度の高い電池を作っています。リチウムイオン電池よりもはるかに軽いが、多くのエネルギーを持っている電池です」と、Cuberg社の上級科学者であるOlivia Risset博士は述べています。
Cuberg社が製造する電池は、従来のリチウムイオン電池の電解質が不燃性であるのに対し、安全性が高いといいます。そのため、安全性が重視される電動航空のような分野においての活用が期待されます。
バッテリー開発とAIは、あまり結びつかない組み合わせのように思えるかもしれませんが、Aionicsの創設者であるAustin Sendek博士によると、機械学習は化学材料の研究をスピードアップさせることができるとのことです。Cuberg社は材料選択プロセスのスピードアップのためにAionicsのプラットフォームを使用しています。
研究開発におけるAIの実践
Cuberg社の研究開発チームでは、このプラットフォームの利用により、化学物質を入力すると、試すべき処方を導き出してくれると言います。
このプラットフォームは、少し実装が複雑なだけで、Netflixが「おすすめの映画」を表示する方法と似たものであるといいます。
電池の研究開発は、配合の良し悪しを判断するために手作業で行わなければならないため、膨大な時間とプロセスを必要とします。
しかし、Aionicsプラットフォームを使用すると、以前の実験のデータから、材料を入れ替えた場合に何が起こるかを導き出すことができるのです。
Cuberg社は設立以来、スピードを最重要視項目としてきました。資金が限られている新興企業にとって、より早く市場に投入できるものが必要なのです。
そのスピード重視が功を奏し、Cuberg社はすでに商業的な収入を得ています。Cuberg社は大量市場での商業生産を迅速に実現しつつ、設備投資を最小限に抑えられるように電池を設計しました。AIの活用は、その戦略の一部に過ぎなかったといいます。
【考察】ベンチャー企業とAIの関係
人員や資金が限られている新興企業が、AIを活用することで迅速に研究開発を進めるという例は、今後日本でも多くなるでしょう。
ベンチャー企業がAIと手を取り合うことで、それまでの市場に思いもよらぬ大きな変化を与えるかもしれません。