小売業者がAIを活用しているのは、オンラインショッピングの効果を高めるためだけではありません。
ベンダーとの契約状況の把握にAIを活用する
ウォルマートは、ベンダーとの価格交渉を支援するために、PactumからのAI技術を試験的に導入する契約を結んでいます。
何十万ものベンダーを抱えているウォルマートにとって、AIはベンターとの契約状況などを把握するのに役立つといいます。
ForresterのSucharita Kodali氏は、小売業者にとってのAIの最大の見返りは、ウェブサイトの行動を含む顧客データからの洞察を得られることであるといいます。データの最適化、可視化、例外の発見―小売業者によるAIの追求は、最も価値があるものであるといいます。
コロナウイルスの教訓―混乱を予測する
コロナウイルスの蔓延の影響に対処することで、小売業者は混乱に対処することの重要性を学びました。
「小売業者は、サプライチェーン全体の需要をモデル化し、これまで以上に混乱に対応する必要があることを認識し始めています」とキルコース氏は述べています。「しかし、トップ企業以外の小売業者は、この種の人材を見つけるのに苦労しています。そこで、AIを組み込んだソリューション・プロバイダーを探すことは非常に重要です。」
混乱が起きたときは、迅速に対応しなければなりません。コロナウイルスはまさにその一例であり、または政治的要因であったり、パンデミックであったり、天候である可能性もあります。小売業者は、単に迅速に対応するだけでなく、これらの混乱が発生したときに備えてシナリオをモデリングする必要があるのです。
【考察】小売業におけるAIの可能性
小売業において、AIの活用方法は販売そのものようなイメージがありますが、ベンダーとの価格交渉や契約状況の管理など、経営そのものにも大きな可能性がある見方が強くなってきました。
小売業に関わらず、「時代を先読みする力」がどの業界のどの企業にとっても不可欠なものであるということは、このコロナウイルスによる状況からも明白です。
様々なパニックを想定して対処するシナリオのモデリングに、AIを採用することは、大きな価値があると言えます。