現在、人工知能 (AI) が香水業界に浸透し始めているといいます。
企業は、より多くのベストセラーを生み出し、短時間でユニークな香りを作るために、テクノロジーにますます目を向けるようになってきています。
ジヴォーダン・フレグランス社の 「Carto」
昨年、スイスに拠点を置くフレグランス開発会社ジヴォーダン・フレグランス社は、調香師の支援のための人工知能を搭載したツール「Carto」を発売しました。
このツールは機械学習を介して、香水の成分の組み合わせを提案することができます。
調香師はタッチスクリーンを使って、ブランドの膨大なライブラリーにある香りの公式データを使って、さまざまな香りを組み合わせることができます。小さなロボットが香りをすぐに香水に加工してくれるので、調香師は新しい香りを簡単に試すことができます。
Symrise社の「Philyra」
ドイツのフレグランスハウスSymriseは、IBMリサーチと提携して、ギリシャの香水の女神にちなんで名付けられた「Philyra」と呼ばれるAIを作成しました。このツールは公式データや顧客データを研究して新しい香りを生成するといいます。
Symriseの副社長 クレア ・ ヴィオラ氏は次のように述べています。「機械学習は、時には結果が間違っていることがあるが、テストを重ねれば重ねるほど改善されていきます。常にトレーニングが必要です。」
「AIの良い点は、人間が思いつかないような 香りの選択や面白い組み合わせを思いつくことです。」
200万近くのアロマ処方のデータベースを持っていることを考えると、香りや組み合わせの幅が広がる可能性は非常に大きいものです。2019年、ブラジルの化粧品会社O BoticárioはSymriseと協力して、人工知能を使った初のフレグランスを発売しました。
ScenTronix社の事例
オランダのブレダにある ScenTronix 社は、顧客が答えるアンケートに基づいて、自分だけの香りを作ることを可能にしています。
人生における自分の役割をどのように考えているか、どのような環境で育ったかなどの質問に答えた後、アルゴリズムがデータを分析し、7分以内に顧客のためのユニークな香水を作成します。顧客は5つのサンプルを30ユーロで購入できます。
ScenTronix の共同設立者 Frederik Duerinck氏 は、今の自分を反映した香水を身につけてもらいたいと考えていたと言います。
【考察】香水メーカーにおけるAIの活用と調香師の必要性
これらのAIツールは必ずしも調香を行う人間の仕事をそのまま替わるものではなく、支援するものとして開発されています。
香水メーカーが有する膨大なデータから、AIが新たな組み合わせを提案することで、今までになかった商品が開発されるというのも、大きなメリットであるといえるでしょう。