人々は安全性を求める一方で、保安検査のために長い時間行列に並びたくないというのが心情かもしれません。ボストン郊外に拠点を置く米国企業Evolvは、主要な公共イベントで銃器を探すシステムを開発しています。
金属探知の誤報を減少させるAI
Evolvは、電子監視とAIソフトウェアを組み合わせたセキュリティアーチを販売しており、信号をふるい分けて、ロックコンサートに入る何千人もの人々の中から銃を持った一人の個人を見つけることができるといいます。
ロンドンのO2センターで開催された今年のブリットアワードでは、この技術がVIPのスクリーンに使用されました。
従来の金属探知機は、問題のない金属製の物体に対しても多くの警報を発生させてしまい、スタジアムやコンサートホールで顧客にストレスを与えることがありました。
EvolvはAIソフトウェアとレーダーを融合して誤報を減らすことで、スムーズに会場に顧客を入れるようにしました。
Evolvのソフトウェアエンジニアは、形状をサインとして解釈するアルゴリズムを作成し、ナイフや銃の輪郭をオペレータに警告する理由としてカタログ化しました。金属の密度は兵器の存在を示す重要な指標の一つであり、1/38秒で反応するようにシステムをプログラムしたといいます。
また、AIソフトウェアは、入場者から得た結果を分析し、これをEvolv独自のデータベースに自動的にアップロードするといいます。ユーザーベースの成長に合わせてシステムは進化していきます。
コロナウイルス対策としての機能追加
Evolvは、2020年には、コロナウイルス対策として、スキャナーに赤外線サーマルイメージング機能を追加することを検討しているとのことです。
カナダの脅威防御専門家であるパトリオット・ワン・テクノロジーズは、群衆の中で銃を持った一人の人間を識別するために構築された既存のシステムが、温度が上昇した人間を検知する研究のために、AIチームを設立しました。
同時に、パトリオット・ワンの最高経営責任者であり、元イギリス外務省の外交官でもあるマーティン・クローニン氏は注意を促しており、温度を検出するのは簡単ではありません。サーマルカメラを人ごみに向けるだけでは 周囲の温度や運動による体温の上昇などの要因は、スキャン装置の精度を低下させる可能性があるといいます。
スキャナーを過信せず、訪問者がさらに注意を払う必要性があるということです。
【考察】犯罪防止のためのAIとコロナウイルスへの活用
大きな会場になればなるほど、入場者の危険物の持ち込み検査にかかる時間は多くなります。
AIを導入することで、金属探知の誤報を減らし、入場者を会場内へスムーズに誘導するシステムは、安全性と顧客満足度を両立させ、様々な場所で活用されることが期待できます。
一方、コロナウイルス対策としてスキャナーに赤外線サーマルイメージング機能を実装することについてはまだ課題が多いといいます。
システムが正常に機能する環境なども、慎重に検討していく必要があるようです。