AIと機械学習は、COVID-19がもたらすパンデミックとの戦いにおいて重要な役割を果たしているといいます。
COVID-19対策における様々なAIの活用
AIを採用したチャットボットは、パンデミックに関するコミュニケーションを加速させているといいます。その一例として、COVID-19に関する政府の公式コミュニケーションを簡単に見つけられるようにするためにチャットボットを立ち上げたフランスのClevy.ioが挙げられます。
このボットは、フランス政府と世界保健機関からリアルタイムで情報を得て、既知の症状を中継したり、政府の政策に関する質問に答えたりするのに役立っているといいます。5月中旬までに約300万のメッセージが送られ、質問が寄せられました。
カリフォルニア州のチャン・ザッカーバーグ・バイオハブの研究者たちは、COVID-19の早期警告システムの開発に取り組んでいます。彼らは大量のデータを分析して、ウイルスの拡散予測、ウイルスがどのように変異して拡散するか、未検出の感染数を推定し、公衆衛生への影響を判断するのに役立てています。
3月には、元ホワイトハウスのチーフデータサイエンティストであるDJ Patil氏が率いるボランティアの専門家グループが、COVID-19患者に必要なベッド数を病院が準備するのに役立つシナリオ計画ツールの開発に取り組みました。
ClosedLoop.aiは、ヘルスケアデータの専門知識を活用して、COVID-19による重度の合併症のリスクが最も高い人々を特定しています。同社は、AIベースの予測モデルである「COVID脆弱性指数」を開発し、オープンソース化しています。C-19インデックスは、医療システム、ケアマネジメント組織、保険会社がハイリスクの個人を特定するために使用されており、同社はこれらの個人に電話をかけ、手洗い、社会的な距離感、自宅で過ごせるように食料やその他の必需品の配達が必要かどうかを話し合うといいます。
マウントサイナイ・ヘルスシステム
ニューヨークのマウントサイナイ・ヘルスシステムは、COVID-19の研究に特化した新しいデータサイエンスセンターの作業をサポートするために、助成金を受け取ったといいます。マウントサイナイCOVIDインフォマティクスセンター(MSCIC)は、デジタルヘルスのためのハッソ・プラットナー研究所、遺伝学・ゲノム科学部、バイオメディカルエンジニアリング・イメージング研究所を含む病院のユニットからリーダーを集めて設立されています。
MSCICは、ヘルスケアデリバリー、健康科学、バイオメディカルおよびデジタルエンジニアリング、機械学習、人工知能の専門知識を持っており、健康増進のために使用されるリアルタイムデータを組み込んだデジタルヘルスプロジェクトの開発を目指しているといいます。Warrior Watchと呼ばれる最近の研究では、何百人もの医療従事者を追跡し、Apple Watchを使って心拍変動、睡眠障害、身体活動などのバイオメトリクスをモニターしました。これに加えて、最前線で医療従事者が直面するストレスや不安のレベルをよりよく理解するための調査が行われました。
ビンガムトン大学の予測拡散モデル
ニューヨーク州ビンガムトン大学のThomas J Watson School of Engineering and Applied Scienceの研究者は、AIを組み込んだCOVID-19拡散予測モデルに取り組んでいるといいます。
機械学習により、アルゴリズムは明示的にプログラムされていなくても学習し、改善することができます。モデルは、米国を含むコロナウイルス感染率の高い50カ国のパターンを調べ、過去14日間のデータに基づいて、今後3日間の感染拡大の可能性を誤差10%以内で予測することができるといいます。
ウイルスの拡散に伴い研究者たちはモデルを更新しており、時間の経過とともにモデルがより正確になるといいます。
【考察】COVID-19の諸問題を解決するAIの活用
COVID-19によって、人が物理的に動くことが困難な状況において、チャットボットによる質問対応は、大きな役割を果たしているといえるでしょう。
また、AIによるウイルスの拡散予測などの研究が進めば、COVID-19による感染者の減少に繋がる画期的な技術となるかもしれません。
参照元:AI, Machine Learning Playing Important Role in Fighting COVID-19