橋の健全性をテストするシステムを通じて、土木インフラ評価のためにAIが応用されているといいます。
橋梁測定センサーを機械学習で補完するシステム
テキサス大学アーリントン校のプレスリリースによると、テキサス大学アーリントン校の土木工学助教授は、橋の構造的な健全性を評価するために、機械学習と従来のモニタリング測定を組み合わせているとのことです。
現在、橋梁を監視するためのシステムは、振動、ひずみ、たわみを測定するセンサーを備えた自重運動システムです。これらの要素に対する橋の応答を測定することで、橋の構造的な健全性を把握することができます。しかし、このセンサーは、異なる種類のトラック、複数の車線、時間帯、交通渋滞などを考慮にいれることはできないといいます。
土木工学科のSuyun Ham博士は、現在設置されているセンサーを機械学習で補完するシステムを作ろうとしています。結果として得られるデータにより、輸送部門は橋梁の荷重パラメータをより正確に把握し、構造物の全体的な完全性をよりよく把握できるようになるとのことです。
「物理学に基づいたモデルと人工知能を組み合わせていますが、コンピュータが学習すればするほど、より良い情報を得ることができるからです。最終的には、機械学習を加えることで、複数の条件を正確に判断できるようになります。」
Ham博士はまた、テキサス州運輸省の助成金を受けて、非接触検査システムを使用して、いつ、どこで橋の補修が必要かをより迅速、簡単、正確に判断するための関連研究にも取り組んでいます。
英国のチーム、AIを使って橋梁ボルトの負荷を研究
サリー大学とキングス・カレッジ・ロンドンでも同様の研究が行われており、チームはダムや橋などの主要なインフラストラクチャのモニタリングに役立つ新しい機械学習アルゴリズムを開発したといいます。
ジャーナル誌『Structural Health Monitoring』に掲載された論文の中で、サリー大学とキングス・カレッジ・ロンドンの研究者たちは、金属構造物のボルトの状態を応力状態で分析・評価するために、SHMnetという名のAIシステムをどのように構築したかを詳しく説明しています。
研究チームは、改良されたAlexNetニューラルネットワークを基盤に、実験室の条件下で衝撃ハンマー試験を設定しました。SHMnetは、鉄骨の接続ボルトの微妙な状態変化を正確に識別するように、損傷を与える10のシナリオを実行しました。
研究チームは、4つの繰り返しデータセットを用いてSHMnetを訓練したところ、試験では完璧な(100%)識別記録が得られたことを発見しました。
論文の原著者であり、サリー大学の助教であるYing Wang博士は、「我々のニューラルネットワークの性能は、SHMnetが構造エンジニア、政府、その他の橋梁、タワー、ダム、その他の金属構造物の健全性を監視するタスクに非常に役立つことを示唆している」と述べています。
【考察】橋の安全性を正確に測定するためのAIの活用
従来の自重運動システムの測定センサーでは、時間帯や交通渋滞といった様々な条件を加味することができませんでした。
AIの利用で、このような複雑な条件を加えて橋の安全性を判断することができれば、土木評価システムとして大いに役立つことになるでしょう。
参照元:AI Put to Work to Help Assess Structural Integrity of Bridges